Altria（NYSE）は、今年の3月下旬から10月上旬にかけて株価の28％が上昇ている。マイナス要因の大部分は、世界中の電子タバコ業界に対する規制と税金攻撃に起因している可能性が高い。Altriaは、人気の電子タバコ会社であるJuulの35％のシェアを所有している。しかし、Juulの大きな後退にもかかわらず、Altriaは、Philip Morrisからの新しい電子タバコ・デバイスをアメリカで展開することで、この状況を打開しようとしている。
Altriaの現在地
Altriaは、2018年12月にJuulに128億ドルの投資を行った。だが、すぐに原因不明の病気の蔓延が、電子タバコ業界に大きな打撃を与えた為、投資は失敗したというのが現在の評価になっている。
CDCからの最新の発表では、電子タバコ関連で健康被害を受けた人数は1,600名を超えている。自社製品が、顧客を殺したような疑惑があるのは明らかに悪い材料だ。
この状況を受けて、アメリカの多くの州や諸外国では、電子タバコに重度の課税をするか、完全に禁止することを始めている。Altriaは、Philip Morrisとの合併を検討していたが、Philip Morrisはそれに応じて合併協議から撤退していた。
AltriaとPhilip Morrisの関係性
通常、合併交渉の決裂はすなわち関係性の破綻を示すことが多いが、両社のケースではそうではない。Philip Morrisは、IQOSのアメリカ展開でAltriaと協業している。 Altriaは2019年10月に入って、2013年後半に締結されていたPhilip Morrisとのライセンス契約を基に、アトランタでIQOSを開始した。この契約では、Altriaは特定の電子タバコ製品をアメリカで販売する独占的なライセンスを取得しており、 IQOSの販売に関しては、Philip Morrisにロイヤリティを支払っている。
Altriaは引き続きアトランタに店舗を増やし、キオスクなどで販売を加速させるように動いている。ユーザーはECでの購入も出来るが、店舗で購入する方が利便性は高い。
IQOSは電子タバコでは無いのか？
IQOSが何であるか、それがvapingとどのように違うのか、そして両社にとって何を意味するのかを見てみましょう。
IQOSはタバコを燃やすのではなく加熱するため、従来のタバコや電子タバコとは異なる。電子タバコのようにニコチン含有液体を蒸気に加熱する代わりに、IQOSはタバコを加熱し、ニコチンを注入したエアロゾルを生成する。IQOSが従来の喫煙や電子タバコよりも安全であるかどうか、またはタバコの使用をやめるのを助けるより良い代替品であるかどうかについての答えはまだ無いが、いくつかの肯定的な研究がある。
2019年初めに発行されたJournal of the American Heart Associationの研究では、被験者に対する非熱傷デバイス、電子タバコ、および従来のタバコ燃焼タバコ（TC）の影響を比較した。この研究では、「酸化ストレス、抗酸化物質の蓄積、血小板機能、心血管、満足度」などの測定基準で、各デバイスの急性効果が異なることがわかっている。これらの発見によると、伝統的なタバコは、最も有害な変化を示しており、非燃焼装置および電子タバコが実際に禁煙の為に有用なツールとして証明できる可能性があるとしている。
当局の見解は
FDA（アメリカ食品医薬品局）は、IQOSが申請する「低リスク・タバコ製品」として販売は認めていない。。ただし、2019年4月にFDAはIQOSのマーケティングを許可している。 FDAの発表によれば、IQOSは連邦法で概説されているタバコの定義を満たしているとしている。 規制当局がこの製品に将来どのように反応するかを予測することは難しい。他の国では2019年 9月下旬に、インド政府は緊急時の法律で電子タバコの販売を禁止しており、その中には加熱式タバコも含まれている。
今後の従来のタバコ、電子タバコ、加熱式タバコの規制動向は不透明だが、仮に加熱式タバコが他に比べて有害性が少ないと判断された場合には、関連企業にとって大きな利点になる。Philip Morrisは、IQOSの製造社として最も多くの利益を享受できる立場にあるが、Altriaもまたアメリカでのライセンス契約を通じて、その成功に乗り、利益を上げることが出来ている。しかし、すでに攻撃を受けている電子タバコと同様に規制を受けることになった場合には、将来性は不安定になる可能性もある。
